第一部 弾圧との闘い【4】

四、集会やデモに参加する場合

1 はじめに

 警察はデモの動向を監視し、少しでも口実があればつけ込んで逮捕を狙っています。それを踏まえて、ここでは警察に介入のスキを与えないための心構えを紹介したいと思います。

2 暗記しておくこと

 救援連絡センターの電話番号(03-3591-1301)を「さぁ獄入り意味多い」というゴロで憶えましょう。万が一逮捕されたときの弁護人選任の連絡に必要です。

3 服装

 服装は動きやすいものがいいですが、デモの形態に応じて臨機応変に対処すればよいでしょう。脱げにくく履きなれた靴やあまり肌の露出しない服を着、ベルトをするのが基本的でしょう。

 集会場入口などで、多くの私服刑事や公安調査庁職員が、集会参加者の写真を撮るなど情報収集活動を行なっていることがあります。写真撮影などされたくない場合は、サングラス・マスクやタオル・帽子(いわゆる三点セット)などを用意して着用したほうがよいでしょう。しかしこれはあくまで防衛的な措置ですから、現場で弁護士などとともに抗議してやめさせたり、場合によっては国家賠償請求訴訟などで反撃して行くことも検討すべきでしょう。

4 持物は最小限に(デモ・集会の性格、内容にもよりますが)

 ハンカチ、チリ紙、現金など必要最小限のものを身につけておきましょう。

 定期、身分証明書、免許証、名刺(自分のもの、他人のもの)、電話番号などを控えた紙片、住所録、手帳、携帯電話などは持たないこと。とにかく、捕まったときに名前や住所のわかるものは一切持たないことです。警察は携帯電話の発受信記録も調べます。

 駅のコインロッカーを利用する人もありますが、カギを持っていれば、捕まったときは当然捜査されますから、使わないようにしましょう。ともかく持物は最小限にとどめることが第一です。

5 ひとりだけにならないように

 ひとりで集会やデモに参加する場合は、人が多くなる時間帯に行くようにしましょう。集会中にトイレなどに行く際にもなるべく連れ立っていった方がいいでしょう。集会やデモに向かう途中あるいは解散後の車内や歩行中など、個人の身辺問題や運動についての会話などは、どこに私服刑事がいて聞いているかわかりませんから注意しましょう。

 機動隊や私服の暴行に対しては、ビデオや写真をとることも必要です。公務中の警察官の写真をとることは肖像権の侵害にはなりません。しかし、暴力的にカメラを取り上げられることなどもありますので、注意しましょう。

6 機動隊とは

 ほとんど治安警備出動だけを任務とする部隊編成の警官隊です。警視庁の場合、機動隊は現在では第一機から第九機まであります。

 最近のデモでは乱闘服を着ることは少なくなりましたが、彼らの服装は、へルメットから靴まで入れて個人装備の重さだけでも15㎏と言います。

 彼らの指令部は、空からはヘリコプター、地上ではトランシーバーなどでデモの全貌を監視します。そして頃合いをみて、各部隊にいろんな規制の仕方を指示します。

 機動隊の実力行使は、まさに暴力そのものです。

8 催涙ガス(弾)について

 最近では使われなくなりましたが、77年5月8日、成田空港に反対する闘いのさなかで、活動家の東山薫さんが至近距離からガス弾の直撃を頭に受けて虐殺されました。ガス自体の毒性もさることながら、ガス弾を弾丸として使用し、至近距離から狙い打ちするという形での殺人行為は絶対許されないことです。この件は、その後国賠で勝利しました。

 催涙ガスの主成分はCN(クロルアセトフェノン)という毒物で、アメリカがベトナム戦争で使用し、世界的にも強い非難のあるガスです。このCNを、ガス銃でデモ隊に向けて発射したり、液体にして放水車から浴びせかけたりするのです。症状としては、有毒ガスによる呼吸困難、直接皮膚に付着した場合には、ヤケドや全身への発疹として現われます。皮膚についた場合は、まず何よりも先に水で洗いながすことです。一応知っておきましょう。