スパイ防止法の制定と国家情報局の創設に反対する声明

1、10月24日、高市首相は、木原稔官房長官に、政府のインテリジェンス活動を統括する「国家情報局」の設置に向けて検討を指示した。それを受け、官房長官は、必要な機能や権限の論点整理を早急に取り組む方針を表明した。その上で、官房長官は、「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境で国益を守り国民の安全を確保するため、インテリジェンス機能の強化が急務だ」と語った。                                                       また、11月25日には、参政党が「スパイ防止関連2法案」を参議院に提出し、翌26日には、国民民主党も、「インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する法律案」を衆議院に提出した。                                  これらの動きは、現状の内閣情報調査室を局に格上げし、国家情報局を創設しようとするものである。
この動きは、「台湾有事は存立危機事態」発言や軍事費2倍化前倒し、安保3文書改訂前倒しなど、高市政権による改憲・戦争への動きと一体で、すべての情報を国家管理下に置こうとするもので、非常に問題がある。

2、そもそも、スパイ防止法は、1985年の自民党案に表れているように、防衛秘密や外交秘密の探知・収集行為を処罰し、その秘密の漏示・漏洩を処罰し、外国への通報を禁止しようとするものである。また、スパイは「売国奴」と言われるように、それに対する刑罰には最高刑が予定されるのが常である。
対象となる「国家秘密」は、法律で規定された事項について「我が国の防衛上秘匿することを要し、かつ、公になっていないもの」とされているが、現在の秘密保護体制を見れば、すでに不当な特定秘密保護法が存在し、保護の対象は、防衛秘密、外交秘密、特定有害活動防止関連秘密、テロ防止関連秘密の四種類に及んでいる。さらにスパイ防止法でこれらを強化しようとする試みを、私たちは許さない。

3、すでに存在する内閣情報調査室の活動内容は、①内閣の重要政策に関する情報の収集及び分析その他の調査に関する事務、②特定秘密の保護に関する事務とされているが、前者についての具体的な活動内容は、次のとおりである。
内閣情報官のもとに内閣情報集約センターと内閣衛星情報センターが置かれ、その他直属機関として、カウンターインテリジェンス・センターと国際テロ情報集約室がおかれている。
内閣衛星情報センターは、情報収集衛星や他の人工衛星により得られる画像情報の分析その他の調査を行うという。つまりは、衛星を通じての情報収集を任務としている。
内閣情報官をセンター長とするカウンターインテリジェンス・センターは、特定秘密等の情報の管理を行い、情報の窃取・破壊等を目的としたサイバー攻撃を防ぐため、情報セキュリティの強化・充実を図っているという。つまり、ここが情報管理の総元締めである。
国際テロ情報集約室では、四名の幹部の下、東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカ、欧州の五地域を中心に、国際テロ情報を収集し、拠点となる在外公館には、国際テロ情勢、現地情勢や語学に精通する適任者を省庁横断的に配置し、官邸の直轄部隊として、邦人関連テロ発生時に備えた各国の治安・情報機関との迅速な協力ラインの確立に取り組んでいるという。
この内閣情報調査室の活動は、端的に言えば、情報収集という名のスパイ活動を行い、得られた情報を分析し、次なる対策の構築に役立てるというものだ。
国家情報局は、この内閣情報調査室を格上げするものだということは、今述べたことをそのまま受け継ぎ、さらにその機能を強化しようとするものである。

4、民主主義社会は、「民が主の社会」である。社会の主人公である市民に秘密にし、市民の行動を監視対象としようとする国家情報局の創設は、民主主義の原則に反し、絶対に容認することはできない。
高市政権は、スパイ防止法の制定と国家情報局の創設に向けての動きを直ちに中止し、また、参政党及び国民民主党は、議員立法への動きを直ちに中止すべきである。

2025年12月13日
救援連絡センター