抗議声明 24年12月25日

福岡県警察本部長
県警本部公安3課課長
福岡地方検察庁検事正
春日警察署長
福岡県公安委員会委員長 各位 殿

【抗議声明】
・「取調べ拒否」を通告した体調不良のAさんを車椅子で強制的に取調室に連行し、取調べを強行したことに抗議する!
・福岡県警・福岡地検は暴力的連行に謝罪せよ!取調べ拒否」者の強制連行をやめろ!

               2024年12月25日
東京都港区新橋2-8-16 石田ビル5階
救援連絡センター
電話03-3591-1301 fax03-3591-3583

 2024年11月6日、福岡県警はAさんを「詐欺」容疑で逮捕し、11月27日、不起訴釈放まで春日署に留置しました。その間、胃痛、嘔吐、下痢、発熱などの体調不良を訴え、「取調べ拒否」を通告するAさんに対して、福岡県警公安三課・日高啓輔らは、連日にわたって取調室に連行、とりわけ11月11日以降は車椅子に乗せて取調室に強制的に連行しました。福岡地検・永田祐侑は弁護人からの抗議の申し入れを黙殺してこれに加担しました。
逮捕権をふりかざした殺人的行為ともいえる取調べ強行に強く抗議します。

1、2024年11月6日「詐欺」容疑での逮捕
福岡県警公安三課と警視庁は、11月6日早朝Aさんを東京で逮捕し、空路で福岡空港署、久留米署、春日署へと連行しました。
「詐欺」容疑とは、「住居届けを変更せず、資格がないのに国民健康保険証を不正に使用した」というものです。親元を離れて暮らす大学生、派遣労働者などこのような事情を抱えた人はごまんといます。長年保険料を支払ってきたにもかかわらず、Aさんはあまりにも理不尽なでっち上げ容疑で逮捕され、21日間も接見禁止のまま拘禁されました。

2、車椅子での取調室への強制連行
女性のAさんは、体調が悪いからこそ医療機関にかかっていたのです。
そのAさんが逮捕当日より胃痛を訴え、嘔吐までしているのに、福岡県警は22時半すぎまで横になることすらさせず、日頃使っていた医療用のコルセットまで取り上げました。翌日からは、夕食後の食休みすらなく夜間取調べが強行されました。11月8日の勾留決定(勾留決定裁判官・荒木克仁)以降も食事や入浴時間以外、午前・午後・夜間と吐き気があっても取調べが強行され、11月10日には午前・午後7時間の取調べがあった上で夜間の取調べまで強行しようとして、Aさんの抗議でようやく断念しました。
連日の長時間取調べで胃痛、嘔吐、下痢、発熱、血圧上昇など身体へのダメージが強く、11月11日には「体調が悪い。房に戻せといったら取調べはやめる、と確認せよ。それができなければ房から出ない」とAさんが通告すると、なんと留置担当職員3人がかりで抱え上げ、車椅子に乗せ留置場外の取調官に引き渡しました。取調官はビニール袋を準備して取調室に連行しました。嘔吐してもかまわないと連行しているのです。しかも、取調室では車椅子から再び男女3人がかりで力づくでパイプ椅子に移動させる、ということを勾留満期日まで連日強行したのです。抵抗するAさんの手は傷だらけになりました。
体調不良のAさんにとって、このような攻防自体が体力を消耗するものです。Aさんは2000年に患った腸閉塞の危機を感じる事態となりました。だからこそ、「取調べ拒否」を通告したのです。しかし、日高ら福岡県警公安たちは、Aさんの必死の抗議を「おお、元気やないか!」と押しつぶし、「みっともない。共産主義戦士のやることか」と人格攻撃まで行い、肉体的精神的暴行の限りを尽くしました。
体調不良のAさんを車椅子に乗せてまで暴力的に連行することに対して、弁護人は捜査責任者である永田検事に抗議し、申入書を提出しました。しかし永田検事は「警察官に申し送ります」と言っただけで黙殺しました。

3、取調べ受忍義務はない
福岡県警は、本件以前にも、「取調べ拒否」を通告する被疑者に対して両手足をもちあげて、いわゆる“飛行機”状態にして連行したり、車椅子にしばりつけて連行してきました。しかも今回、被疑者が体調不良であることを取調官は百も承知でした。全国警察の中でも、これほどまでに暴力的連行を行う警察はどこにもありません。昨今、取調官の暴言、暴行、拷問的取調べが社会問題化していますが、福岡県警は群をぬいて悪質です。
そもそも取調べに受忍義務はありません。2013年原宿署に留置されている被疑者が「取調べ拒否」を通告しているにもかかわらず、留置担当職員5~6人が房内に入り「出ろ」と強引に出房させたことがありました。これに対して弁護士が抗議したところ、留置責任者は、「自分たちは、座学で、実力行使はできないと教わっている」と明確に述べています。
2017年、京都の殺人事件では、被疑者が取調べ拒否を貫いたところ、京都府警と京都地検は取調べの強要を中止しました。
しかし、今般の福岡県警・日高は「取調べの権限は自分にある、自分が決める」と言い放ち、病人に対してまで実力行使を指示し、春日署留置担当職員とともに暴力的な連行を連日強行したのです。全国留置署職員と福岡県警留置署職員では学ぶ座学が違うとでもいうのでしょうか。

4、福岡県警はAさんに謝罪しろ!「取調べ拒否」通告者への強制連行をやめろ!
Aさんの体調は、釈放後も復調していません。
事件をでっちあげてAさんの身柄を拘束したばかりか、拷問的取調べ=暴行の限りを尽くし、肉体的破壊を狙った弾圧を許しません。福岡県警・福岡地検はAさんに謝罪せよ。
福岡県警は、今後「取調べ拒否」者に対して、取調室への実力行使をもった強制連行―取調べ強行をやめよ。

私たちのこの抗議に対する意見と見解を2025年1月20日までに、上記救援連絡センターまで回答してくださるようお願いします。