七月十六日、東京都武蔵野市の武蔵野競技場で、オリンピックの前哨イベントがおこなわれました。開催関係者とメディアだけが入った競技場内で「聖火」の「トーチキス」を行うという、少し考えても深く考えても意味のわからない茶番劇です。会場近くに集まった多くの人の抗議の声をかき消し、警察犬まで配備する過剰警備の中での開催でした。
この中で、ひとりの仲間が五輪への抗議を訴えるために会場前の歩道で爆竹を鳴らしました。いうまでもなく、爆竹は大きな音を鳴らすだけのものであって、人を傷つけるものではありません。にもかかわらず、警察は不当にも「威力業務妨害」で仲間を現行犯逮捕しました。
起訴状によれば、威力によって業務が妨害されたのは、主催者であるオリパラ組織委員会や東京都ではなく、現場近くにいたイベント会社の社員だといいます。ためにする弾圧のために駆り出された社員も気の毒ですが、こんな奇妙なこじつけで、正当な抗議者に罪をかぶせることを許すわけにはいきません。
不当な逮捕・勾留に抗議するため、救援会は仲間が勾留されている武蔵野警察署に対して四度にわたり抗議行動を実施。多くの人びとが、オリパラ反対とともに、警察・検察・裁判所への抗議、獄中の仲間への激励を展開しました。また、七月二十七日には勾留理由開示公判も開かれました。弁護士の求釈明に対して裁判官のこたえは例によって具体性を欠くものでしたが、本人は元気な姿を見せて、しっかりとアピールしました。
七月三十日、東京地検は勾留十四日目にして仲間を起訴しました。今回の抗議行動を罪に問い得ると検察が判断したことはそれ自体不当なことですが、オリパラに関連するあらゆる現場の弾圧態勢を考えれば、驚くには値しないのかもしれません。。
今回の弾圧はどのように位置づけられるでしょうか。まず、非暴力の抗議行動に対して、警察・検察がそれ自体を罪とするべく攻撃をしかけていることに注目する必要があります。爆竹の音自体、あるいはそれを抗議の手段とすることを好まない人は多いでしょうが、爆竹を鳴らすことは確実に非暴力の行動です。誰をも傷つけず、誰にも強要しない行動が、それが抗議行動であるために罪に問われるということは到底ゆるせません。
もうひとつ、警備員への業務妨害が罪に問われようとしていることの危険性にも注目する必要があります。五輪関連イベントがまさに行われている会場近くのできごとについて、五輪関連イベントの「整理・誘導」の業務への妨害を言いつのることは、明らかに恣意的です。このようなこじつけをゆるせば、あらゆる種類の抗議行動、直接行動、団体交渉が、その行動自体の目的や正当性を棚上げにして、そこにおける警備業務への外形的な業務妨害として弾圧されるということになりかねません。また、警備会社が管轄権や天下りを通じて、警察のコントロール下にあることにも注意が必要です。
仲間は起訴後の今も武蔵野警察署内の留置場に、接見禁止処分がつけられたままで勾留されていますが、別掲の獄中アピールのとおり意気軒昂です。救援会は八月二十日に東京地検立川支部前で起訴と勾留への抗議行動を行いました。このあと続く刑事裁判と、仲間の奪還への闘いに注目と支援をお願いします。そして裁判費用等のための圧倒的な救援カンパと、弾圧をはねのけるための行動への参加を!
(7.16武蔵野「聖火」セレモニー抗議弾圧救援会)
【救援カンパ振込先】郵便振替 00150-8-66752(口座名: 三多摩労働者法律センター) ※ 「7.16弾圧救援カンパ」と通信欄に必ず明記ください。