デモは権利だ! 恩恵ではない 2016年2.11反「紀元節」行動における機動隊の理不尽な規制とデ モ妨害に抗議する

私たち「安倍戦争国家と天皇制を問う2・11反『紀元節』行
動」は、今年も渋谷で反天皇制・戦争国家体制に反対する集会とデモに
取り組んだ。
この日は、集会会場近辺で奉祝派のデモもあり、右翼街宣車も押しか
けるかとも予想されたが、デモの出発地点から離れたところで、在特会
系のグループが街宣し、また集会中に徒歩で数名の右翼が登場したほか
は、右翼の妨害は例年よりもひどいものではなかった。
一方、この日の警察・機動隊の不当な規制は、度を越えるものであっ
た。何ら正当な理由も必要性もない規制が、出発前から解散地点まで一
貫して加えられ続けた。それはまさに、規制のための規制、規制を自己
目的化した規制というべきものであった。
警察の指揮者だけでなく、多数の警察官が絶えず宣伝カーの窓ガラス
を執拗にたたき続け、「早く行け」「警告」と急がせた。それは運転妨
害になるほどだった。デモ隊と宣伝カーが離されないよう、車の横につ
いて歩いていた実行委のメンバーは、警官に囲まれ車から引き離され
た。その結果、宣伝カーとデモ隊との間にすき間ができると、こんどは
それを理由としてデモの参加者の体を押して、早く進めと繰り返す。こ
の不当なやりかたに抗議した監視弁護士さえ、私服警官に囲まれて歩道
に押し上げられてしまった。念のために言っておくが、デモ隊はことさ
らに遅れていたわけではなく、急がされる理由などなにもなかった。し
きりに急かすだけの警察官は、「デモの解散時間を知っているのか」と
いう抗議にたいして答えられず、さらには、間違ってデモの進行方向と
は逆に誘導しようとする始末であった。
デモ隊全体に対して、機動隊の並進規制や、後方や真横からの圧縮
(押し込め)が間断なくなされた。何人もの参加者が突き飛ばされた。
途中で具合が悪くなったり、倒れこんだ参加者も出た。これに抗議した
実行委のメンバーに対しては、「こいつらを歩かせるように指示しろ」
と言い、なおも抗議すると「逮捕するぞ、警告!何時何分……」などと
恫喝した。「許可条件を守れ、デモ隊は三列」と警官は繰り返していた
が、実は「許可条件」は四列なのである。さらに三列どころか、デモ隊
列は二列、一列にさえ押し込められていたのだ。また、「デモは交通の
迷惑になる(から規制されて当たり前)」と言い放つ警官もいた。デモ
は車道を歩くものであり、それが交通に一定の支障を来すのはあたりま
えのことである。そのことを前提にして、デモという表現の自由が尊重
すべきものとされるのだ。法を遵守しなければならない警察官が言って
よいことではない。
「今回のデモ参加者で、警官に押されたりさわられたりしなかった人
間はいなかったのではないか」という感想が聞かれたが、これは決して
大げさな話ではない。
とりわけ今回ひどかったのが、警察によるデモの参加者に対する暴言
や、侮蔑的な態度である。いつもであれば、デモ隊への妨害は同じで
あっても、口先だけは「詰めて下さい」「早く進んで下さい」と、表面
上「笑顔」さえつくる。しかし、今回は「前に詰めろ!」「お前ら早く
進め!」である。表面的な「ていねいさ」さえかなぐり捨て、その言葉
つきにふさわしい態度と顔つきは一貫していた。若い機動隊員の中に
は、薄ら笑いを浮かべつつ、高齢の参加者を「はい、がんばろう!」と
言いながら何度も押している奴もいた。実に許しがたいことだ。
こうしたことのすべてに、私たちは何度も抗議をしたが、責任者然と
した警官は「デモの許可を出してやったのは警察なんだから、お前らは
言うことを聞け」と公言した。デモは憲法に保障された思想・表現の自
由、基本的人権に属するものである。公安条例自体が不当なものだが、
東京都の場合デモは届け出制であって、基本的に受理しなければならな
いものなのである。たしかに「許可証」は警察署長の名前で出るが、実
際に「許可」するのは東京都公安委員会である。「警察がデモを許可し
ている」などというのは、二重三重に間違った寝言である。
私たちのデモは、高齢者や「障害者」も参加する、非暴力の市民のデ
モである。デモにたいして卑劣な暴力を繰り返す街宣右翼などを理由
に、警察は陰に陽に、デモへの介入を目論んできた。しかし、今回はそ
のような右翼は登場しなかった。そのようなかたちでのデモ規制をする
ことを通して、警察がデモを徹頭徹尾規制していく訓練がなされたので
はないかと疑う。今回、警備責任者は、実行委のデモ指揮者さえ無視し
て、デモ全体を警察の統制の下に進行させようとしたのだ。これは、い
つものデモとも、大きく異なるやり方である。おそらく下部の機動隊員
は、ただこのデモを急がせろ、規制しろという命令だけを受けて、それ
を「忠実」に履行するよう徹底されていたのではないか。多くの批判が
あるように、憲法を蹂躙して恥じない現在の安倍政権の強権的な姿勢
が、政権に批判的な言論・表現は規制されて当然という心性を、警察官
たちにも与え続けているのではないのか。
今回の警備がこのようなものであり、私たちがそのターゲットとされ
たことのほんとうの理由は、知るところではない。しかしはっきり言え
ることは、今回のデモ規制が、われわれの権利としてある表現行為を妨
害し、われわれが、われわれのペースとスタイルで街頭の人びとに対し
て訴えていく権利を侵害したということである。いま、全国各地で、さ
まざまにおきている街頭での人びとの抵抗や自己表現が、警察権力によ
る不当な介入や弾圧の対象となり、それにともなう人権侵害も目立って
いる。そこに見られるのは、法を恣意的に運用し、人びとの行動に分断
線を引く権力の無法である。
繰り返すが、デモの主体はデモの参加者であり、表現の権利と自由を
一片の行政権力が侵すことは許されない。警視庁、機動隊、私服・公
安、そして今回のデモに係わった所轄の警備警察官に対して強く抗議
し、二度とこのような不当な規制をおこなわないことを強く訴える。

2016年3月22日
安倍戦争国家と天皇制を問う2・11反「紀元節」行動

京大反戦ストへの弾圧を弾劾する!  ただちに、6人の学生を釈放せよ!  救援連絡センター

 

2月29日と3月1日、警察権力は全学連(斉藤郁真委員長)の6名の仲間を「威力業務妨害」容疑で不当にも逮捕した。これは京都大学当局が、昨年10月27日に京都大学でおこなわれた戦争反対のストライキを「授業妨害」と言いなし告訴したからだ。このような暴挙は歴史上はじめてである。また、これをそそのかし、恣意的に学生運動指導部をねらい打ちしたのが国家権力であり、安倍政権である。救援連絡センターはこの暴挙、戦争のための治安弾圧を徹底的に弾劾する。ときあたかも朝鮮侵略戦争への動きが一触即発の危機にあり、安倍政権はこれに参戦しようとしていて、反戦ストへの許し難い弾圧をしかけたのである。ただちに、6人の学生を釈放せよ。

何よりも、昨年10月の京大反戦ストライキは、安倍政権の戦争法強行採決への労働者民衆の怒りの反撃の先頭に立つものであり、国会前100万ー全国1000万の戦争法反対の思いと連帯するストライキだった。この学生たちを「告訴」した京大当局は、では何をしているか。自衛隊や米軍からの研究費を受けて戦争政策の片棒をかついでいる。学内に潜り込んだ警官を擁護して学生運動を弾圧している。この京大山極総長体制と闘ったのが学生の反戦ストだった。

3月7日から行なわれている米韓合同軍事演習は実に韓国軍30万米軍1万7千を動員する史上最大の軍事演習である。戦略爆撃機や空母を結集し、作戦計画5015という核戦争計画の訓練をするだけでなく、ただちに実戦に転化できる体制だ。安倍政権もこの3月から実施される戦争法をもってこの戦争に参加しようとしている。まさに戦争突入情勢下での治安弾圧である。

また、5月におこなわれる伊勢志摩サミットは世界に戦火を広げている大国の首脳たちの会議であり、世界と日本の労働者民衆の怒りと弾劾の的となっている。この開催を前にして、学生や労働者の反対闘争、反戦闘争を壊滅しようというのが今回の治安弾圧なのだ。絶対に許すことはできない。

ただちに6人の学生を釈放せよ。

2016年3月16日

原宿署による拷問に対する抗議声明

 1月27日のオリンピックに向けて明治公園から野宿者を排除する攻撃に抗議したことで3月2日に令状逮捕されたAさんは原宿署の「保護房」で両手首を拘束具で強く縛られ、指先の感覚がなくなり、しびれと激痛に襲われるというすさまじい拷問を受けた。「拘束具で私の両手首は強く締め付けられ、手を少し動かすだけでも激痛が走る状態でした。……私はこのような状態で保護房の床に転がされて手首の痛みを大声で訴えましたが、無視され続けました。」と、Aさんは訴えている。これは不当な取調を拒否したことに対する報復である。
そうした原宿署の暴力行為に対して救援連絡センターは断固として非難し抗議する。
Aさんに対する拷問 を許さないぞ!
拘束具を使っての拷問はやめろ!
Aさんに謝罪しろ!
原宿警察署は、取調べを強要するな!
「保護房」は拷問のための房であり、即時撤廃しろ!
               2016年3月7日
                           救援連絡センター

事実と証拠もねつ造する「竪川スラップ訴訟」~前代未聞の運動つぶし 最終弁論へ参加を     当該 園良太


あなたが区役所に何かを要請・抗議しただけで、不当逮捕・起訴・4ヶ月も勾留され、刑 事裁判を強いられ「懲役1年・執行猶予3年」の有罪にされた挙句、その後に「職員をケガ させたから治療費を払え」と民事裁判まで起こされたらどうでしょうか。「そんな酷い事 があるのか」と思うでしょう。

しかし、あります。私がその被害者です。レイバーネットでも何度か書いていただいた「 2・9竪川弾圧」は、東京都の江東区役所が2012年2月に「竪川河川敷公園」から野宿者を 強制排除したことから始まっています。抗議した私は上記の刑事弾圧を受けました。ところが それで終わらず、判決 直後の14年2月、私のもとに突然「不当逮捕時に江東区職員 の首を絞めてケガをさせたため、約4万円の治療費を払え」という請求書が来ました。送 り主は公務員の労災組織「地方公務員災害補償基金」。 http://www.chikousai.jp/ まず「基金」が江東区職員に治療費を払ったため、代理請求をしてきたのです。

しかし、「江東区職員の首を絞めてケガをさせた」は事実無根のでっち上げで 、暴力を振るったのは江東区側です。そのため拒否し続けたところ、「基金」は何と東京地裁 に民事裁判を起こしてきました。

わずか4万円のために何十万円もかかる裁判を税金を使って起こす、強い行政が弱い民間 人に起こす。それは倫理面からも費用対効果からもありえない事です。 労災組織を間に挟ませ、3年後に請求し、わざとわかりにくくさせる手法を使っています 。公安警察と江東区による運動潰しの嫌がらせなのです。

15年6月に裁判が始まり、相手は何とでたらめな再現イラストと写真のみを「証拠」に出 しました。職員本人が書き、相手方の弁護士が職員役を演じているものです。

唖然としませんか? これでは冤罪を作り放題になります。裁判で事実も証拠もねつ造を許 したら、私達の人権は終わります。私達は昨年11月に江東区と「基金」へ抗議行動へ行き 、なぜ・どのような事実認定をしたのか、こんな少額訴訟が通常ありうるのかと質問状を 出しました。

報告: https://tatekawaslapp.wordpress.com/2016/01/07/tatekawa_slapp_action15report/
前回11月19日の尋問では、江東区を徹底追及してボロを続出させました。

報告:https://tatekawaslapp.wordpress.com/2015/12/07/tatekawa_slapp_report4_2/

請求却下の勝利へもう一押しです。ぜひ最大の山場、最終弁論を埋め尽くして下さい!

「竪川SLAPP訴訟 最終弁論」

2月2日(火)10時半~東京地裁429号法廷!!
9時半地裁前アピール、10時傍聴券配布。10時までに集合下さい。
12時前後の終了後は弁護士会館1階ロビーで報告会です。

呼びかけ:「竪川SLAPP訴訟をたたかう会」

https://tatekawaslapp.wordpress.com/
ツイッター:@maketamatama 東京都台東区日本堤1-25-11 山谷労働者福祉会館気付

【裁判費用が足りません。ぜひカンパをお願い致します!】

①郵便振替口座番号: 00100-3-105440 加入者名: 救援連絡センター 必ず通信欄に「竪川SLAPP訴訟をたたかう会」へと明記して下さい。
②郵便局の口座を持っている方は、019店 当座 0105440 救援連絡センター 宛てで、手数料無しでご送金できます。その際は、下段の*注意事項をご参照ください。
③銀行口座 みずほ銀行 新橋支店(店番号130)
普通口座 キュウエンレンラクセンターダイヒョウヤマナカユキオ

*注意事項 ②及び③へのご送金方法の場合は、恐れ入りますが、当会のメールアドレス(maketama2015@yahoo.co.jp )まで、次の内容をお知らせくださいますようお願いいたします。 1.お振込みいただいた方のお名前 2.金額

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4万円求める税金の無駄遣い

竪川少額スラップ訴訟(『週刊金曜日』12月19日号、中嶋啓明記者の「メディア一撃」 より)

わずか4万円の損害賠償を求めるため、役所の関連団体が、民間の一私人相手に裁判を 起こす。訴訟費用を考えると割の合わない、税金の無駄遣いとしかいいようのない民事裁 判が東京地裁で続いている。しかも被告にさせられた男性は、賠償請求の原因について、 身に覚えのない罪をでっち上げた、嫌がらせのための裁判だと主張している。

男性は、東京・江東区の竪川河川敷で暮らす野宿者の支援活動で刑事弾圧を受け、その 闘いを本欄でも何度か取り上げたことのある園良太さん(2013年4月12日号、同10月 18日号本欄など参照)。原告は、自治体職員らが業務上の災害で受けた被害の補償などを 目的に設立され、自治体の負担金で運営される地方公務員災害補償基金。

双方の訴えなどによると、3年前の2月、野宿者を強制排除するため行われた暴力的な 行政代執行に対し、支援の仲間らと共に江東区役所に抗議に訪れた園さんは、警備に動員 された区役所職員らとのもみ合いの仲で警察に逮捕され、その後、威力業務妨害の罪で起 訴された。園さんは、話し合いを拒否して一方的に代執行を強行した区側の姿勢にこそ問 題があったとして、逮捕、起訴は違法、不当な刑事弾圧だと訴えたが、一、二審で有罪判 決を受け確定した。園さんにとって受け入れ難い結果ではあったが、この事件自体につい ては、これで完結したはずだった。ところが、事態はそれで終わらなかった。

警備についていた男性職員の一人が、園さんに両手で首を絞められ、頚部捻挫で通院治 療を強いられたと基金に申し立てたのだ。基金は申し立てを認めて公務災害と認定し、治 療費など約4万円を職員に給付。それによって男性職員から損害賠償請求権を代位取得し たとして、基金は今年に入り突如、園さんに対する裁判を起こしたのだった。

だが、そもそも、逮捕されたときの容疑罪名は、区役所の壁のガラスを割ったとする器 物損壊。園さんは直後に被害弁済し、立件材料がなくなり困った検察は、慌しく職員に総 当りして事情聴取を繰り返した。そして抗議活動に対する警備で役所の通常業務が妨げら れたとの構図を描き、無理やり威力業務妨害罪を適用して起訴にこぎつけたのだった。当 時、男性職員も検察の事情聴取を受けている。にもかかわらず、園さんが傷害罪に問われ ることはなかったのだ。

厳戒警備の429号法廷で開かれる裁判(佐久間健吉裁判長、松本佳織・伊藤渉両裁判 官)はこれまでに4回の口頭弁論が行われ、11月19日には、男性職員の証人尋問も行われ た。この中で男性職員は、検察の事情聴取で被害を訴えていなかったことを問われ「記憶 していない」と繰り返すのみだった。警備に参加したほかの職員の調書にも首を絞めたと の目撃供述はなく、男性職員の訴え以外、裏付け証拠は出されていない。

園さんは、職員らから殴るけるの暴行を受け、宙吊りにされてたたき出された自分こそ が被害者だとして、立ちはだかる職員を払いのけようとしたことはあっても、首を絞めた というのは虚偽以外の何ものでもないと主張。「公安警察が江東区に入れ知恵し、基金を 背後で操っているのでは」と疑う。代理人の川村理弁護士は「第三者が関与した事件や事 故で加害者の原因企業などに賠償を求めたケースはあるだろうが、こんな少額のための裁 判は聞いたことがない。抗議活動に対する嫌がらせが目的のスラップ訴訟であることは明 らかだ」と話している。

基金側は電話取材に「答えることはない」と言い放った。

 

救援連絡センターの原点  代表就任にあたって   代表 足立 昌勝

一昨年12月、国民の反対の声を踏みにじって、安倍政権は、特定秘密保護法を強行採決し、成立させた。そこでは、外交秘密、防衛秘密、テロ情報、警察情報が守られるべき秘密とされた。本来ならば、テロ情報や警察情報は、秘密の範疇には入らないものであるにもかかわらず、保護対象とされたということは、自衛隊が国内や海外で活動するためには、国内での不安要素をなくしておく必要があり、そのための警察権限の強化であり、抑圧体制の確立である。
また、昨年七月には、集団的自衛権についての閣議決定を行った。この閣議決定によって、今国会で議論され、多くの国民が反対している戦争法案へ道を歩み始めたのである。国会では、圧倒的多数の国民の声や国会を取り巻く「廃案」の声を無視し、戦争法案が参議院特別委員会・本会議で強行採決された。法案成立後に、「これから丁寧に説明すれば、国民は理解してくれる」と主張する安倍政権の強圧的かつ傲慢な姿勢が目についてならない。
さらに、今国会では、冤罪防止を目的とし、極めて少ない範囲での取調べの録音・録画を容認しながら、盗聴対象犯罪の大幅拡大と立会の廃止、司法取引の導入という、まったく冤罪防止とは正反対の内容を一つの法律案にまとめ上げた「刑訴法等の一部改正案」が審議されていたが、衆議院では、与党と民主・維新の党との間で、全く内容には変化のない「修正」が行われ、法務委員会・本会議で可決され、参議院に送付された。この法案は、特に、盗聴対象犯罪を従来の組織犯罪である四類型に限定されていたものを、振り込め詐欺の防止を目的とし、窃盗、詐欺、恐喝などの一般刑法犯にまで広げようとしている。これは、盗聴法を質的に転換させるものであり、今後は、警察の必要性判断で対象犯罪を増やすことを認めてしまうことになるであろう。
この盗聴対象犯罪の大幅な拡大は、警察による国民監視を強め、国家にとっての「悪しき人間」を、通信を通じて監視し、管理を行うことになる。司法取引では、仲間を警察に売り渡すことを容認するものであり、この手法を通じて、警察は、戦争に反対し、平和を志向する組織内に入り込み、組織を解体するために使用するであろう。
このような安倍政権の動きは、国民が国家の主人公であるという国民主権の原則を無視し、「自分が憲法解釈の責任者だ」という独裁者思考をますます強めるであろう。そこでは、国民は、「民ハ由ラシムベクシテ、知ラシムベカラズ」の原則の下で、被統治者の立場にされてしまう。これは、国民主権とは真逆である。そして、その先にあるのが、基本的人権を国家主義にすり替え、憲法九条を破棄して国民を戦争に動員する改憲攻撃であることは全ての危機意識を持っている方々と実践的認識を共有しているものである。
このような現状においては、被疑者・被告人の権利を守り、治安強化を図る悪法に反対する救援連絡センター(以下、「センター」と略称する。)の役割は、ますます重要になってくるであろう。その場合、私たちの闘いは、どのように進められるのであろうか。
まず最初に、センターの役割と原則を確認しておこう。これについて、センター設立に関わられた水戸喜世子さんは、次のように述べている。

68年12月から69年4月まで3回の機関紙を発行し救援連絡センターに引き継がれていきます。私たちが願った形は、①誰でも逮捕されたら弁護士に来てもらえる(弁護士事務所分室でなければならない)。②最新の弾圧事情をみんなに知らせる機能をもちたい=最低限の機関紙を持つ。機関紙上では毎月会計報告をして鉛筆一本に至るまでカンパの使途を明らかにする。厳密に救援に限定しなければならない。③特定の党派の思想的介入に左右されない、ということでした。
 これはセンターの二大原則(略)として文章化されました。

この二大原則を現時点で確認することの意義は大きい。
このような経緯を経て69年3月末に、救援連絡センターは発足した。
水戸さんの御提起の重要性は時代の変遷とともにますます明らかになってきている。センターは、広範な支援者、人権に敏感な弁護士、そして救援活動に日夜苦労して来られた事務局員,運営委員などの固い意志と行動によって原則を守り作り上げて来た。
救援連絡センターには、二大原則が存在する。「規約」には、次のように規定されている。

3 目的
本団体は、
一、国家権力による、ただ一人の人民に対する基本的人権の侵害をも、全人民への弾圧であると見なす。
二、国家権力による弾圧に対しては、犠牲者の思想的信条、政治的見解の如何を問わず、これを救援する。
との二大原則に基づき、全ての被弾圧者の人権を擁護する活動を行うことを目的とする。

従来の経緯から、救援の対象にならないものも存在する。それは、センターに敵対し、暴力をふるって、反省の一言もなく今も平然としている革マルであり、新左翼勢力には人権は存在しないとして、弁護活動を拒否した共産党である。それ以外のものについては、センターに敵対的でない限り、二番目の原則に基づき、「思想的信条、政治的信条の如何を問わず」救援することが目的となっている。センターは、民衆の間に入り、要望があり、センターに余力がある場合には、その事件も受ける方向で検討すべきである。
以上の原則の上に、更にセンターの闘争上の行動準則(被疑者・被告人と国家との対決の場における被疑者・被告人のとるべき態度)として「完全黙秘・非転向」が存在する。これは、半世紀に近いセンターが一連の爆弾冤罪事件救援や、三里塚・国鉄闘争、あるいは破防法型弾圧諸闘争等々救援の中で実践的につかみ取り確立してきたものである。司法取引が現実化されようとしている現情勢においては、更に「取調拒否」の方針も展望される必要があるであろう。センターの現場ではすでにその実践が開始されている。歴史上の諸冤罪闘争や団体司法に対する闘争、先哲の努力に学び、センターとして更に有効に歩を進めてゆくための研究と議論を、全員の力で積み重ねていくであろう。

反弾圧情報コーナー 2015年8月

8月1日 警察庁で、人事異動が行われた。その一部を紹介する。生活安全局長に警視庁副総監から種谷良二が。警備局長に総括審議官の沖田芳樹が。外事情報部長に神奈川県警本部長の松本光弘が。官房審議官=東京オリンピック担当に警視庁警備部長の斎藤実が。警視庁の警視総監に警備局長の高橋清孝が。副総監に京都府警本部長の山下史雄が。さらに、原子力規制庁次長に警察大学校長の荻野徹が、それぞれ充てられた。

15日 アメリカの新聞「ニューヨークタイムズ」は、米国家安全保障局(NSA)による国内でのインターネット通信の傍受活動に、通信大手会社のAT&Tが長年にわたって「極めて協力的」だったと報じた。アメリカでは愛国者法に基づく傍受が時限立法で期限が切れた中、オバマ政権は「米国自由法」を新たに制定し、傍受を認めたものの一定の制限を課した。今後、大統領選での焦点になる可能性もある。

19日 大阪地裁(芦高源裁判長)で、少女への強姦と強制わいせつの罪で懲役12年が確定し、約3年半の服役後に被害証言が虚偽だったとして再審開始決定が出された70代男性の最新の初公判が開かれた。検察側は「無罪は明らかで虚偽を見抜けず誠に申し訳ない」と謝罪し即日結審した。10月16日の判決で無罪が言い渡される見込みだ。弁護側は取り調べた検事らの証人尋問を求めたが、却下された。

21日 東京地裁は、東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の元幹部3人が強制起訴されることになったことで、検察官役に石田正三郎、神山啓史、山内久光の3弁護士を選任した。

27日 欧州の国際特急列車タリスで起きたテロ事件を受けて、各国で鉄道でのテロ対策・安全確保が課題となっている。従来、欧州の鉄道は乗車時の手荷物検査はないが、これの見直しが始まりそうだ。

フランスでは、オランド大統領が「鉄道の安全確保は国の責任だ」と強調し、「すべての荷物を調べるのは難しいが、テロ防止のために抜き打ち検査は必要だ」。

スペインでは、2004年に191人が死亡した列車爆発テロを受け、国内の長距離路線で荷物検査を導入している。

ベルギーでは、事件後タリスの乗客への手荷物検査の実施や、駅施設などでの監視を強化する方針を示している。

27日 国会で民主党など野党側が提出した「人種差別撤廃施策推進法案」による、ヘイトスピーチ規制の法律化が問われているが、自公の与党側の消極姿勢で、論議が始まっていない。「ヘイトスピーチは許されない」ことでは与野党一致しているとのことだが、「表現の自由」を巡って溝が埋まらない。主要国では法整備が進められており、国連人種差別撤廃委員会は昨年8月、日本政府に対して人種差別禁止法を制定するとともに、ヘイトスピーチを規制するよう勧告している。

30日 大阪府寝屋川市の中学生2人が遺体で見つかった事件で、防犯(監視)カメラの映像が容疑者特定の決め手になったことが、話題になっている。カメラの映像を重視する捜査手法は定着しており、大阪府警では4月に「犯罪抑止戦略本部」を新設し、90人態勢でカメラの映像データを収集・解析する組織としている。警視庁が2009年に「捜査支援分析センター」と同様の組織。これらの監視カメラの需要は、2013年度で約1545億円の売り上げが推定されていて、年々拡大している。

31日 新年度予算の概算要求がまとまった。警察・治安対策では、来年5月に伊勢志摩サミットが開催されることから、警察庁分で156億6000万円。海上保安庁は警備機材の整備費などに11億8000万円が、特に挙げられている。これ以外にもさサミット対策としては外務省分に176億3000万円があげられ、首脳陣の移動のための防弾車の手配などが入っている。2008年の洞爺湖サミットでは予備費からの支出や補正予算での追加などで、外務省分で約255億円を超えており、今回のサミットの準備と警備対策では、相当な支出がなされるものと思われる。

また、安保法制の審議が進められる中で、自衛隊の装備拡大など軍事予算の伸びが目立つ。総額では過去最大の5兆911億円となったが、武器等の購入費の好年度以降での支払い分が4兆8815億円と積みあがっており、来年度以降の軍拡も前提とされることに。