宮下公園ナイキ化反対!国家賠償請求訴訟に勝利したぞ! 渋谷区は宮下公園をナイキ化以前の原状に帰し、原告など公園の利用者に謝罪しろ! 「新宮下公園計画」を白紙に戻せ!

●宮下公園ナイキ化計画とは何か

渋谷区は、スポーツメーカー・ナイキジャパンに区立宮下公園のネーミングライツ(命名権)を売り渡す。ナイキジャパンは自費で宮下公園を改修、有料の施設を設け公園の利用者をふるいにかける。宮下公園はナイキジャパンの広告塔となり、当然にも野宿者、貧困者は公けの園から追い出される。渋谷区は、この計画を水面下で推し進める…。

ナイキ化計画の存在が発覚したのは、2008年5月のことでした。その後、ナイキジャパンは宮下公園の改修などの総工費4億円を全額負担し、渋谷区にネーミングライツ料として年間1,700万円を支払う計画である旨、マスコミにより報じられました。もちろん私たちは、このナイキ化計画に繰り返し異議を唱えました。が、ナイキジャパン、渋谷区が、私たちの声に耳を傾けることはありませんでした。

●突然の全面閉鎖

そして渋谷区は、2010年9月15日早朝、何の予告もなく宮下公園を全面閉鎖し、同年9月24日には、行政代執行によりテントなど私たちの私物を撤去してしまいました。全面閉鎖の当日、渋谷区の職員、警備員に園外に追い出され――それも、からだごと担ぎ上げられて!――ケガを負ったのが、原告の元宮下公園野宿者です。

渋谷区とナイキジャパンが交わした協定書では、宮下公園は「宮下NIKEパーク」とネーミングされていました。しかし、渋谷区もナイキジャパンも世論の批判を恐れたのか、現在では、両者とも宮下公園を平仮名で「みやしたこうえん」と表記しています。

●強制退去もナイキ化計画も違法との判決を勝ち取る

2011年4月20日、私たちは、東京地方裁判所に渋谷区を被告とする国家賠償請求訴訟を提起しました。それから4年、今年3月13日、判決が下されました。

その内容は、

(1)渋谷区による元宮下公園野宿者への強制退去は違法

(2)①渋谷区による元宮下公園野宿者への所有物の除却命令は違

②渋谷区が所有物の除却を命令するさいの、のじれん、守る会に対する弁明機会の付与通知

の手続きは違法

ナイキジャパンと渋谷区との契約自体においても、

(3)区議会の議決を経ていないので違法

(4)ナイキジャパンとの契約は一般競争入札の原則に反する随意契約でありこれも違法

とする画期的なもの(他方で、行政代執行それ自体の違法性を認定しないなど不当な点も指摘できますが)。しかも東京地方裁判所は、まずナイキ化ありきという渋谷区の姿勢が(3)(4)を招き、(1)(2)を導いた、との私たちの主張を認めたといえるのです。東京地方裁判所は、渋谷区に対し元宮下公園野宿者への11万円の賠償を命じました。公園は一企業のものではなく、みんなのものだ! 私たちの訴えが、多少ではあれ汲み取られたと評価できます。

案の定というべきか、敗訴を受け、3月26日、渋谷区は東京高等裁判所に控訴しました。が、9月17日、控訴は棄却され、原判決が維持されました。渋谷区は上告を断念、10月1日、私たちの勝訴が確定しました。

現在、宮下公園は、違法な手続き・契約の下に改修された違法な状態にある公園である、といえます。今こそ渋谷区は、司法による判断を重く受け止め、元宮下公園野宿者を始めとする公園の利用者に謝罪して、宮下公園をナイキ化以前の原状に帰すことを決断するべきです。夜間の開放、監視カメラの撤去は当たり前、宮下公園の「再整備」などもってのほかです。

●「新宮下公園計画」を許すな

このかん渋谷区は、宮下公園の「再整備計画」なるものを準備してきました。「宮下公園を現在の二階建てから三階建てのビルにし、運動施設はもちろん商業施設も設ける」「施設の屋上が『新宮下公園』となる」「なお、公園の原宿側には高層ホテルを建てる」「ナイキジャパンとの協議? それはこれから」!? 今年3月の渋谷区議会・都市環境委員会(現/区民環境委員会)の席で、緑と水・公園課から、こんな計画が練られていることが報告されました。これが実現してしまえば、宮下公園はもはや公園ではなくなってしまいます。

しかし、渋谷区はさすがに、これはナイキ化計画を超える強引なものであると自覚したのか、一方で、東京地裁での敗訴にひるんだともいえるでしょう、再整備計画は廃案に追い込まれました。

が、しかし、です。かつて宮下公園ナイキ化計画を区議会議員として推進し、去る4月、その職に就いた長谷部区長は「内容を検討し、いずれあらためて、区議会に整備計画を提出するつもり」としています。

加えて渋谷区は、2020年オリンピック・パラリンピックの開催を控え、都市再開発を加速させて、野宿者などの「ジャマ者」を宮下公園はおろかあらゆる公園から追い出そうとしています。今、渋谷区が構想している「ホームレス対策」(「アイリブ
シブヤ・プロジェクト」と呼ばれているそうです)が、排除のための受け皿となってはなりません。

一切の排除を許さない闘いをともに! (2015.10.13)

宮下公園ナイキ化反対!国賠訴訟原告団

渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合(のじれん)

みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会(守る会)

宮下公園アーティスト・イン・レジデンス

元宮下公園野宿者

東京都渋谷区東1―27―8(202号)

070(6511)0639

http://minnanokouenn.blogspot.jp/

9・15ー16国会前弾圧の救援を訴えます。

戦争法案反対の声が国会を取り巻き、9月14日から18日にかけて連日のように逮捕者が出て、その数は20名にも及びました。救援連絡センターで把握していない人もいますが、わかっている逮捕者は以下の通りです。
逮捕の事実経過
全員が公務執行妨害での逮捕ですが、センターに弁護人選任依頼(以下弁選と略す)が入っていない人については詳細は不明です。
9月14日 2名逮捕→すでに別の弁護人がついていて、16日に検事釈放
9月15日 3名逮捕→うち2名はセンター弁選で10日間勾留中。2名とも逮捕時に暴行されて負傷している。取調拒否、指紋採取と写真撮影も拒否。許せないことに赤坂署は赤坂3号を4日間も拷問と隔離のための「保護房」に収容した。強く抗議する。
他の1名はすでに別の弁護人がついていて、詳細は不明。
9月16日 13名逮捕→うちセンター弁選は7名、13名全員が分散留置で深夜に弁選が入る。センターと総がかり行動実の内田雅敏弁護士を中心に13名全員に弁護士接見。逮捕時に暴行されて負傷した人もいる。18日に7名が検事釈放され、19日に6名が10日間勾留決定。うち2名が取調拒否、指紋採取と写真撮影拒否、検察庁・裁判所への連行も拒否したため、車いすに乗せられて連行された。
9月17日 1名逮捕(80歳の男性)→すでに別の弁護士がついていて詳細は不明
9月18日 1名逮捕(60代女性、カッターナイフ所持)→センターの弁護士が接見したが、すでに別の弁護士がついていたので、その弁護士に任せることにした。
センターとしては弁選が入らなかった人についても問い合わせまたは弁護士に警察署に行ってもらっていますが、すでに弁護士がついている場合は、こちらもそれ以上の対応はしていません。
現在、センターは15日の2名と16日の6名。計8名の救援を担当しています。
逮捕者それぞれの所属するグループで救援会を組織し、情報交換と集約のために随時全体の会議を開いて、協力しながらやっていくことになりました。
9月25日には勾留理由開示公判を予定していますが、裁判所が連休中のため、打ち合わせができていません。24日に最終的には決まります。
不当逮捕された仲間を一日も早く取り戻そう
この間、戦争法に反対する国会前の闘いは連日連夜、取り組まれ、全国から数万人の人々が集まり、安倍政権への怒りの声をたたきつけました。国会に近寄らせないための警備は高圧的で鉄柵と機動隊のバスで国会前に近づけないように弾圧態勢を強化し、戦争法案阻止の闘いを力づくで押さえ込もうとしていたのです。その警備の暴力に抗して、多くの人々が怒りの声をあげ、その中で上記のような逮捕者がでたのですが、逮捕時に被害者とされた機動隊委員が勾留請求時には別の警察官になっているなど公務執行妨害の罪名はでたらめで、でっち上げです。逮捕はねらい打ちであり、警察の暴力で転ばされて逮捕された人も大勢います。この事実を明らかにしていきましょう。
逮捕されたのは「過激派」であるとか、逮捕された側が悪いとして、今回の弾圧に対して冷ややかで、むしろ警察と一体になって批判している勢力がいますが、彼らの主張はまちがっています。
あの状況では誰もが逮捕される可能性はあったのです。逮捕された仲間を取り戻すために全力をあげて闘うのは、戦争法に反対する闘いと一体の闘いです。弾圧する国家権力と闘わずして、戦争に向かう安倍を先頭とする支配者と対決することはできません。過去の歴史を見ても、戦争を遂行する時代には治安弾圧もまた強化されます。弾圧に対しては反弾圧・反権力の闘いを共同して反撃することが重要です。
一日も早く仲間全員を取り戻すために、救援活動への支援を訴えます。

*弁護士と多くの人々の抗議によって、赤坂署の被逮捕者は23日午前10時に保護房から出された。

救援連絡センター

国会審議から見えてきた安全保障関連法案の本質

7月16日、安全保障関連法案が衆議院で強行採決され、参議院での審議も大詰めを迎えつつある。政府側の説明は、様々な論点で二転三転したり、曖昧模糊な答弁に終始したりしている。特徴的な答弁は、「イスラーム・ステート」(IS)掃討作戦への後方支援について問いただされた際の、「政策的判断として軍事作戦を行う有志連合に参加する考えはない」、「法制度ができたとしても、要件が満たされれば必ず派遣するかといえばそうではない。その時々の政策判断がある」(安倍首相、衆議院平和安全法制特別委員会、5月28日)といったものだ。「××は法的に可能になるのか」という質問に、「××は現在はやる気はない」とはぐらかすのである。これでは、論議は深まりようがない。
だが、安保法整備の審議で、その本質が見えやすくなってきたことも確かである。
岸田外相は、8月26日の参議院平和安全法制特別委員会での答弁で、日本が自衛権の行使途中で集団安全保障措置に切り替わった場合のみ参加可能としてきた集団安全保障措置について、自衛権行使前でも参加可能になると説明した。具体的には、自衛権とは無関係に、「国連安保理決議あるいはそれに類するもの」を根拠に多国籍軍に弾薬輸送を含む後方支援という形で参戦するということだ。 国際平和支援法により、時限的な特別措置法で実施されたインド洋での給油活動などが恒久化されるのである。なお、「国連安保理決議あるいはそれに類するもの」という根拠付けが困難な場合でも、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」(重要影響事態)を理由に、多国籍軍への後方支援を実施するつもりだと思われる。イラク戦争型有志同盟軍への後方支援も可能にするというわけだ。
また、安全保障関連法案の成立を前提に、防衛省が南スーダンPKOに派兵されている自衛隊の任務に駆け付け警護を加えることを検討していることが、参議院平和安全法制特別委員会で明らかになった。安全保障関連法案の国際平和協力法(PKO法)改悪部分が、法案成立後に最初に政策として実施されるというわけだ。南スーダンは、西はISの活動が活発化しているマグレブやサヘル・サハラにつながり、北はイスラム主義政権が支配するスーダンと対峙し、南はソマリアでの「テロとの戦い」の主力を担うケニアに接する。いわばアフリカにおける「テロとの戦い」のヘソだ。また、PKO法改悪により、NATO諸国軍がアフガニスタンで行ってきたような治安支援活動への参加も可能になる。
防衛省が8月18日に参議院平和安全法制特別委員会理事懇談会に提出した内部資料では、「任務遂行のために武器使用」を行うケースとして、PKOの駆け付け警護以外にも邦人救出が挙げられていた。自衛隊法改悪で実施可能にしようとしている邦人救出も、アルジェリア日揮プラント襲撃事件などを念頭に置いたものだ。
アフガニスタン─イラク戦争型多国籍軍・有志同盟軍への後方支援、大規模戦闘終了後の治安活動、危険性の高いPKOでの他国軍への駆け付け警護、邦人救出、全て「テロとの戦い」を想定したものである。安全保障関連法案とは、「対テロ戦争」参戦法なのだ。なお、盗聴法の拡大、共謀罪新設などは、それと表裏一体のものである。
前述の防衛省内部資料は、2015年4月版の「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)と安全保障関連法案に基づく対米協力の拡大も検討していた。このうち具体的な検討項目として目立つのは「南シナ海での平時の警戒監視」だと報じられている(東京新聞八月一九日朝刊)。これに関して、中谷防衛相は、国会審議では可能性を否定しないが、あいまいにしか説明してこなかった。だが、法案成立後にはやる気満々というわけだ。
安全保障関連法案の第一の本質が「対テロ戦争」参戦であるとすれな、第二の本質は、この対中抑止力強化である。『サンデー毎日』(2015年6月28日号)は、これに関する興味深い記事を掲載している。それは、6月2日に訪日したフィリッピンのベニグノ・アキノ三世大統領と安倍首相の間で日比の「訪問軍協定」(VFA)手行ける交渉入りの密約が交わされたというものである。この日比VFAができれば、自衛隊がフィリッピン国内の基地を一時使用できるようになる。豪比VFAと同様の内容ならば、自衛隊が日米地位協定で在日米軍が得ているような治外法権を手にすることができる。
ここで思い出して欲しいのが、武力攻撃事態法の存立危機事態の定義である。それは、「我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される危険がある事態」というものだ。そして、この存立危機事態においては、日本が攻撃されていなくとも、集団的自衛権が行使できると政府は言っている。