【人民新聞弾圧】12.11編集長が詐欺罪で不当起訴!今すぐ解放せよ! 12.8検察申し入れ・記者会見・勾留理由開示公判・大集会を開催

●公安検事・福居幸一へ釈放要求
 12月8日13時より、編集長の起訴か釈放かを決める神戸地方検察庁・福居幸一検事に対して申し入れが行われた。集まった市民に対し、地検職員および兵庫県警が「申し入れを行う3名以外は庁舎内に入れない」と主張し、締め出しを行った。
 寒空の下、申し入れに同行した人々がロビーで待たせてほしいというだけの話なのにもかかわらず、多数の警察官が入り口を封鎖し通行を妨害した。トイレを借りに建物に入った参加者に対し、職員がトイレの前まで後を付けるなど、信じがたい行為も行われた。警察官の中には家宅捜索に参加したものもおり、抗議の声が飛ぶと姿を消した。申し入れでは「起訴はゆるさない、もし起訴されるようなら全国・全世界から非難が殺到するだろう」との声とともに約400名の賛同署名を提出した。
●拍手と怒号の開示公判
 続けて14時から、隣の神戸地裁にて「勾留理由開示公判が行われた。日本の現状においては検察が出した勾留請求を裁判所がそのまま認めるケースがほとんどである。よっていったん逮捕されれば被疑者は最大23日間にわたり警察署に監禁され、連日取り調べを強要されることから、冤罪・人権侵害の温床であるとして国際的にも批判を浴びている。こうした状況において、裁判所が行った勾留決定の理由を公の場で問い、勾留されている本人も意見を述べるという、せめてもの対抗手段が勾留理由開示公判である。
 大法廷には数十名の傍聴者が各地から続々と集い、直前に行われた神戸地検に対する抗議申し入れの参加者も合流した。静まり返った法廷のなか、係員に付き添われてY編集長が入廷すると大きな拍手が沸き起こり、編集長は手錠をかけられた両手をかかげてこれにこたえた。
 公判では、勾留決定を行った毛受裕介裁判官が検察の言い分をそのまま繰り返し、「罪証隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」などがあることから勾留を認める、と述べた。「具体的にどのようなおそれがあるのか?」と追及する弁護士の質問に対しても、「答える必要はない」の一点張りをくりかえした。傍聴席から怒りの声が相次ぐと、毛受裁判官は退廷警告を乱発し、1名の傍聴者を係員に引きずらせて退廷させるに及んだ。こうした態度に対し、弁護士からも「裁判官の職責を放棄しており、あまりひどい」との抗議が行われた。
 続いて弁護士からの意見陳述が行われた。被疑事実である自分名義のキャッシュカードを他人に使わせる行為は、市民が日常的に行っていることであり、実質的な被害などないこと、資料・PC・携帯などあらゆるものをすでに押収されているのに、罪証隠滅など不可能であること、職場である人民新聞社を放棄して逃亡するわけなどないこと、勾留によって業務に損害が出ていることが述べられた。在宅捜査で十分であり、勾留の必要などないにもかかわらず身柄を拘束していることは、政府に物を言う存在である新聞社に対する弾圧であり、虚偽の自白の獲得を目的とする憲法違反の行為であると締めくくり、同意の拍手が鳴り響いた。
 次に編集長からの意見陳述が行われた(詳細は2面の参照を)。勾留生活中に新聞の新企画の着想も続々と得られ、職場復帰する準備は万全である、と元気いっぱいに述べた。被害者不在の「犯罪」で勾留をつづける合理的理由などない、と締めくくり、万雷の拍手のなか陳述を終えた。いずれの側に道理があるのか、だれが聞いても明白であるような公判であった。
●抗議大集会に100人結集、多彩な連帯発言
 そして大阪へ戻り、19時から天満橋ドーンセンターで「人民新聞弾圧への緊急抗議集会」を開催した。緊急の呼びかけにも関わらず、会場は立ち見での参加者が出るほどの盛況で、約100名が集結した。本紙編集部による経過説明をはじめ、同日に不当捜査を受けた「オリオンの会」(東京都内)の声明を共有した。
 このかんの関西での不当逮捕・弾圧の当事者として、星川洋史さん(京都Xバンドレーダー「白バス弾圧」)や藤原俊秀さん(エル大阪借用弾圧)、下地真樹さん(関西大弾圧)、大谷隆夫さん(釜ヶ崎選挙権弾圧)が本件弾圧と自らの不当逮捕・弾圧の経験を交えて発言した。また、趙博さん(浪速の唄う巨人・パギやん)や弘川欣絵さん(弁護士)、浅野健一さん(同志社大学教員)、山下けいきさん(茨木市議)、戸田ひさよし(門真市議)、高木りゅうた(高槻市議)さんらも本件の不当逮捕について発言した。多くの執筆者も集まり、東京から文化欄の連載を始めた雪森ゆかりさんも駆けつけ、「生きづらさの問題を扱う人民新聞を大事にしたい」と発言した。実に多彩な人々が、新聞社弾圧に抗議していることが実感できる集会となった。
●不当起訴を絶対に許さない。12/27夜に神戸地検へ
 しかし編集長は11日午後、神戸地検により「詐欺罪」で起訴された。公安警察の言論弾圧・人権侵害を、われわれは怒りを持って弾劾する。引き続き、即時保釈をもとめて全力で救援活動を展開する。さっそく12月12日、不当起訴した神戸地検に対する緊急抗議および身柄勾留中の兵庫県警生田署に対する抗議・本人への激励行動が取り組まれた。地検前には約20名、生田署前にはきつい冷え込みのなか約40名が集まり、まず表側で弾圧の不当性に対して怒りのアピールを行った。そののち、勾留中の部屋に面している警察署裏手へ回り、順番にマイクを回して編集長への激励を行った。
 今後はすぐに保釈請求を行う。そして12月27日18時に神戸地検前に集合し、起訴に抗議し保釈を求める(神戸駅徒歩5分)。その後編集長がまだ生田署にいれば生田署へ、神戸拘置所へ移されていたら拘置所へ激励に行く。ぜひ多くの参加をお願いします。(編集部)
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12月8日に神戸地裁で行われた勾留理由開示公判での
山田編集長の陳述書(要約)
詐欺罪は成立しない
今回の私に対する詐欺の容疑による、逮捕勾留は不当かつ違法です。その理由を以下陳述します。
 今回の事件は、私が他人に銀行口座を利用させる目的で開設し、キャッシュカードを騙し取ったとされるものです。しかし、私は新生銀行の口座をそのような目的で開設したものではありません。他人に銀行口座を利用させる目的がなかったのですから、詐欺罪は成立せず逮捕勾留は違法です。
 私が開設した新生銀行口座は、当初から現在に至るまで、完全に私の管理下にあります。検察が主張する第三者に利用させる目的で口座を開設したとの容疑は事実に反しています。暗証番号・パスフレーズは長く設定し、定期的に変更しなければ使えなくなります。このパスフレーズの変更者こそが口座の管理者と断定して差しつかえありません。私は定期的にこのパスフレーズを変更し、残高、取引状況を確認し続けてきました。私が同口座の管理者であることは疑う余地がなく、「第三者に利用させる」目的で口座を開設したとの検察の主張は、全く事実に反しています。
今回の逮捕勾留は、公安調査のために行われたもの
 警察は私の供述以外の客観的証拠の収集を逮捕前に終えています。警察の私に対する取調でわかったことの一つは、今回の事件の捜査が少なくとも6月22日以前に始まっていたことです。担当刑事が私に示した「銀行口座の取引状態」を見ると、生田警察署は、私が別に持っている三菱UFJ銀行の口座に対し、6月22日に照会要請をしています。
 つまり、警察・検察は6月22日以前に、実際にはずっと以前に捜査は開始され、周到な調査と準備を行ったうえで、11月21日、総勢数十人の警察官を動員した大規模なガサイレ・逮捕を敢行したのです。
 私から新生銀行の口座開設に至る事実関係を調べるためではなく、「オリオンの会」の実態解明こそが主目的であり、調査の為の逮捕・勾留なのです。
 それが証拠に、警察と検察の取調では、「オリオンの会」の目的・参加メンバー、設立の経過について、くり返し質問しています。詐欺事件は口実に過ぎず、捜査当局は、当該口座が完全に私の管理下にあることを百も承知でその事実を隠し逮捕状を請求したのです。こうした政治警察的捜査手法がまかり通り、闊歩する社会は、極めて危険と言えます。
公安警察が5年も前から情報を握りながら放置していた事案
 私が預金口座を開設し、レバノンで、その口座から預金が引き出されるようになったのは5年前のことです。またその口座に5年も前からお金を振込んでいたオリオンの会がどういう会であるかは公知の事実です。公安警察が5年間もこれらの事実を見逃していたとは到底考えられません。情報を掴みながら長期間放置していたのは、本件が逮捕勾留して取り調べなければならない程、違法性の高い事件ではなかったからに他なりません。実質的な被害がないのですから刑罰をもって臨む必要性は全くないことを十分に承知していたに相違ありません。
証拠隠滅、逃亡の必要性も可能性もない
 被疑事実の核心部分はキャッシュカードであり、出入金記録です。キャッシュカードは、自宅と新聞社のガサイレで発見されていません。仮に私がこのキャッシュカードをどこかに隠し持っていたとして、これを隠滅するでしようか?「第三者が使っていた」ことが犯罪とされているのだから、 私はむしろ「ここにあります」と提出すれば、私は無罪に裏付けるからです。キャッシュカードの隠滅は、自ら有利な証拠を失うことになるのですから、あり得ません。
 出入金記録については、警察・検察が詳細を調査しつくしており隠滅はあり得ません、正直なところ、私には、何を隠滅するのか?全く見当もつきません。
 私の逃亡のおそれを考えることは、笑止千万です。私は、今回の不当な逮捕と全面的に争うつもりですし、人民新聞編集長としての重い責任があります。これまで築いてきた友人・知人関係も含めてこれらを全て、捨て去る選択肢などあり得ません。逃亡の可能性はゼロです。
勾留を続ける合理的な理由はどこにもなく、釈放すべきだ
 私には逮捕勾留の根幹をなす詐欺の事実はなく、罪証隠滅のおそれも逃亡のおそれもありません。実質的な被害者のいない本件では逮捕勾留までする必要性は全くありません。勾留要件がなく私は速やかに釈放されるべきです。
 私は警察・検察の捜査に協力する気は全くありません。これまでどおり、正当な権利として認められている黙秘権を行使し続けます。つまり勾留による捜査の進展は絶対にあり得ません。
私の事件は実質的な被害者がいない「詐欺容疑」です。逮捕そのものが不当であり、勾留を続ける合理的な理由はどこにもありません。1日も早く放免すべきです。