渋谷区立宮下公園の全面封鎖に対する緊急抗議声明

2017年3月27日、宮下公園は約3メートルの鋼板によって全面封鎖されました。

宮下公園では、昨年末より多いときで小屋を持たない野宿者が20名以上寝ており、封鎖の行われた27日も私たちが確認できただけでも9名の野宿者が園内に泊まっていました。
渋谷区は早朝より封鎖作業をはじめ、おびただしい数の職員・警備員・警察官によって朝9時頃から利用者の入園を認めませんでした。
野宿者・利用者に対する事前予告なしの抜き打ち・だまし討ちの封鎖でした(注1)。
園内にいた複数の野宿者は冷たいみぞれの中、追い出されました。雨がやむまで待ってほしい、と要求した一部の野宿者については、工事内容の説明もせずにフェンスで周囲を囲った上で、福祉課の職員がドヤの宿泊を打診しました(注2)。移動の自由を奪い、追い出しと一体になった福祉のこのようなあり方は人間の尊厳を踏みにじるものでしかありません。本来、追い出しに人権的観点から抗議すべき福祉行政が渋谷区では追い出しの尖兵になっています。
これらの野宿者は福祉の打診を断り、昼過ぎまで抗議の意志をもって公園に残りました。
突然の封鎖に抗議し、公園内の人たちに会うことを求めた支援者には、警察を動員し1名を逮捕するという形で排除しました。
園内にいた(供用停止の場所になっていない階段部分も含め)支援者に対して、渋谷区は職員や警備員で取り囲んで身動きをさせず、15時間以上にわたって園内の水飲み場・トイレを使用させない、という人権無視の姿勢でした。
園内にとどまった野宿者・支援者が園外と一体となって行った、区長への面会と雨がしのげる継続的な寝場所を求める交渉は深夜にも及びました。
最終的に、吉武公園課長が今後の寝場所を渋谷区の公共地にもうけるように総務部と責任をもって交渉するとの約束をマイクで公言しました。
一方、公園内にあった寝るために必要な毛布などの受け渡しは渋谷区の都合で遅滞し、深夜1時すぎになりました。朝9時に「荷物はすぐに渡すから」と公園を出された人にとっては、荷物返還を要求してから12時間以上が経過していました。

以上が私たちの経験した3月27日の宮下公園での暴力的な排除の概略です。
現在、渋谷では駅周辺をはじめとする「100年の計」と言われる再開発が進み、夜間眠れる場所が奪われています。一方で、新たに野宿に至る人が減ることはありません。そのような状況下で、三井不動産による、そしてオリンピックのために渋谷区が推進する新宮下公園等事業は、初動において野宿者の排除を行いました。それは、同事業が公園の持つ人権を擁護する公共性を無視し、利用者との合意に基づかない商業的な論理に貫かれた暴力的なものであることを象徴的に表しています。
渋谷区行政は、近年一貫して野宿者を排除してきました。
長谷部健区長は、議員時代にナイキと渋谷区を結びつけ、宮下公園の改造を実現した張本人です。2010年宮下公園で野宿者を排除した渋谷区は、国家賠償裁判において敗訴しました。当時の桑原区長の後継者として長谷部氏は2015年に区長になりました。
長谷部区長は宮下公園において2回にわたって野宿者排除をしたことになります。
区長の提唱しているダイバーシティ(多様性)・インクルージョン(包摂)が、実態を隠蔽する表面的な題目にすぎないことは明らかです。
28日朝、移転先の公共地で渋谷区が工事を始めようとしました。担当課長が工事内容の説明を拒否する中で、野宿者の一人が逮捕されることになりました。また、悪天時の寝泊まり先として要求してきた場所に渋谷区はプランターを設置しました。しかし、宮下公園から排除された野宿者は、なんとか寝場所を確保するために行動しています
私たちは、渋谷区、長谷部区長、三井不動産に対し満腔の怒りをもって抗議します。

寝場所を返せ!
宮下公園を返せ!
渋谷区は野宿者排除をやめろ!
三井不動産は新宮下公園事業を取り下げろ!
長谷部区長は、いますぐ私たちとの話し合いに応じろ!

注1 園内の毛布倉庫、ダンボールなどに公園課が撤去の警告を連日貼っていました。3月25日付けの警告は、撤去期限を4月6日としています。また、3月24日に開かれた区民環境委員会で、新宮下公園事業について聞かれた公園課長は、設計が終わり次第工事に着手する、と回答していました。現在、新宮下公園は設計どころか都市計画すら決定していません。
注2 渋谷区の福祉が利用している宿泊所などの施設の多くは、東京都が定めた「宿泊所設置運営指導指針」に反しています。また、宿泊所は、門限、人間関係、大幅な保護費の天引き、二段ベッドが並んだ狭小な居室などのため、退出する人が多いのが現実です。

2017年3月30日

宮下公園ねる会議
夜間施錠よなよな阻止行動
2016-2017渋谷越年越冬闘争実行委員会
みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会
渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合
【抗議先】
◆渋谷区役所(代表):TEL 03(3463)1211
             FAX03(3548)4900
◆長谷部健渋谷区長 区長室:TEL 03(3463)1290
◆区長への手紙:〒150-8010 渋谷区渋谷1-18-21
◆渋谷区長宛て ※区施設に専用封筒(切手不要)専用 FAX03(3548)4900

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